のれんの思い出

小さい頃に住んでいた街に、一軒の蕎麦屋が、ありました。

なかなか外食なんて、連れて行ってもらえず

年に数回、連れて行ってもらったのが、その蕎麦屋でした。



たまの外食です。嬉しくて仕方なく、弟と一緒に

店が見えるところまで出て行き、のれんが掛かるのを

今か、今かと、待っていました。

昼時に、のれんが掛かると、開店の合図です。

急いで家に戻り、親父の手を引っ張って、店まで走っていきます。



今思えば、蕎麦の味、香りが分かるはずもなく、

きっと、ハンバーグやカレーが食べたかったと思います。

でも、のれんが掛かるのを待って、食べたそばの味は

今も忘れません。



その後、引越しをして街を離れたので

その蕎麦屋には、一度も行ってません。

久しぶりに、あの味を楽しみたいです。

もちろん、のれんが掛かるのを待って。


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