ラーメン屋の「のれん」
「のれん」と言えば、やっぱりラーメン屋です。私にとって最も印象深かったラーメン屋ののれんは、薄汚れた赤いのれんでした。のれんには、単に「中・華・そ・ば」と書かれており、他に何の飾り気もありません。ただ、その生地の汚れ具合から見たら、何十年もその土地でラーメン屋を営業しているのは明らかでした。
昔のラーメン屋ののれんは、ラーメンを食べた後、店を出るときに、油で汚れた手を拭くために使われたものです。今風のラーメン屋は、手を拭くためにおしぼりやら紙ナプキンやらを出してくれますが、昔ながらのラーメン屋はそんなものは出してくれません。ですから、必然的に、のれんがお手拭き代わりになるのです。
そんなわけで、ラーメン屋の年季の入った薄汚れたのれんは、たくさんの人が食べてきた証です。その汚れは油汚れなので、少々洗ったくらいでは落ちないことでしょう。でも、その汚れは、ラーメン屋にとっては長年多くの人に愛された勲章なので、少々、不衛生ではあっても、大事にして欲しいですね。
実際、そののれんに釣られて入ってみたら、昔ながらの鶏がらスープでコクがありながら、生姜やネギの風味であっさり感もあり、コショウも利かせて食べたら、懐かしい味がして、大変美味しかったです。